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価値観の多様化、結婚式を挙げないカップルは何にお金をかけるのか?

価値観の多様化

はじめに

結婚式といえば将来を誓った男女にとって一世一代の晴れ舞台であり、幸せな人生を語る上で欠かせない最大級の記念行事です。結婚式で結婚指輪を交換する光景はまさにふたりの新しい門出を象徴するもので、かつては多くの人が「結婚式を挙げないで結婚生活に突入するなんて考えられない」と認識していました。

しかし今は価値観の多様化も進み、結婚式を挙げないカップルも数多く存在します。ふたりはどのような考えから「結婚式を挙げない」という道を選んだのでしょうか。そして結婚式を挙げない代わりに、どのようなことを大切にしているのでしょうか。

本記事では、結婚式を挙げないカップルの最新事情に迫ります。

1.多様化とは

そもそも「多様化」とは、いったいどのようなことを差すのでしょうか。

デジタル大辞泉(出典:小学館)では次のように解説されています。

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たよう‐か〔タヤウクワ〕【多様化】

[名](スル)様式・傾向が、さまざまに分かれること。「考え方が多様化している」

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多様性とは「ダイバーシティ」とも表現され、最近では主にビジネスの世界で雇用の機会均等、多様な働き方を指す言葉として使われています。

1-1.もともとはアメリカで広まった

多様化という考え方は、もともとアメリカにおいてマイノリティーや女性の積極的な採用、差別のない処遇を実現するために広がりました。
1960年代の米国で、公民権運動など人権問題への取り組みの中で生まれ、「黒人と白人女性」に対する差別的な人事慣行(採用、業績評価など)を撤廃しようという動きが発端となり、やがてマイノリティー(障害者、高齢者など)をすべて包括する考え方へと変わりながら、社会の中に浸透していきました。

1-2.日本でも個々の価値観が尊重される時代へ

多様性という言葉は、日本では人種、宗教などに加えて、性別、価値観、障害等の側面に注目が集まり、ライフスタイルにおいても最近では個々の価値観が尊重される傾向が強まっています。

自分らしさやオリジナリティーを大切にし、周囲にとらわれない生き方は近年ますますスタンダードな考え方として浸透しています。

また、近年はLGBTと呼ばれる性的マイノリティーに対しても受け入れる気運が高まり、誰もが暮らしやすい世の中を求める声が上げやすくなってきました。

2.結婚式を挙げない「ナシ婚」を選択する理由

価値観の多様化が広がりを見せる中、結婚式を挙げない「ナシ婚」を選ぶカップルは今や珍しくありません。

なぜ、結婚式を挙げない選択をするのでしょう?

みんなのウェディング『ナシ婚』に関する調査2019」では、ナシ婚を選んだ理由が次のような順位で発表されています。

1位 経済的事情(費用が高い、資金がない) 21.8%
2位 セレモニー的行為が嫌で挙式や披露宴自体を行いたくなかった 18.0%
3位 授かり婚・おめでた婚のため 16.5%
4位 再婚のため 10.4%
5位 結婚式を行うことを面倒・手間だと感じている 8.9%

上位3位までの理由は同調査が2018年度に実施した内容と同じ結果で、最近のカップルの考え方が如実に表れているといえます。
次に、それぞれの理由の背景を探ってみましょう。

2-1.経済的な理由

結婚式や披露宴はお金がかかります。新生活をスタートさせるには結婚式以外にも引っ越しや諸手続き、新生活に必要な物の購入など出費がかさむものです。
たった1度のセレモニーに大金を払うくらいなら、その分のお金をこれから始まる実生活に使いたいと考えるのもうなずけます。
特に結婚を考えるような若い世代の間では、将来に備えて「今はなるべくお金を使わないように暮らす」ことを目標に掲げる人が増えているという時代背景も関係しています。

2-2.目立ちたくない

結婚式では当然のことながら新郎新婦が主役です。参列者は主役であるふたりの一挙手一投足を見逃すまいと注目しています。目立つことが好きではない人にとって、そのような状況は居心地の悪い思いをするだけで、結婚式自体がストレスになるということです。
式を挙げるとなると誰を招待して誰を招待しないのか、何をするのかなど気遣いも絶えず、そもそも好きでないイベントのためになぜ労力を使わなくてはいけないのかと疑問に思ってしまうのも理解できます。

さらに空気を読めるタイプのふたりは、自分たちのために親族や友人たちがご祝儀を用意し、わざわざ時間の都合をつけて集まってくれるという状況に対して恐縮する気持ちが強く働きます。「参列者を楽しませないと申し訳ない」「良いお式だったねと思われたい」というプレッシャーから解放されたい一心で、結局結婚式を挙げないという選択にたどり着くのです。

2-3.妊娠している

授かり婚の場合、新婦の体調を考慮して結婚式を取りやめるケースが多くあります。はじめは「出産後に結婚式を挙げよう」と考えていた夫婦でも、いざ新婚生活をスタートさせると育児や日々の生活に追われます。いつかはしようと思っていた結婚式もだんだんと「面倒くさい」「そんな余裕はない」と感じるようになり、結局、式を取りやめるという結論に至ります。

一昔前と違って授かり婚が珍しくない近ごろでは、新生活のための引っ越しと出産でお金がかかるため「結婚式の費用を出せない」、または「結婚式にお金をかけるくらいならその分を育児や教育に回したい」と考える現実重視派も増えています。

3.結婚式を挙げないカップルは何をする?

では、結婚式を挙げないカップルは代わりに何をするのでしょうか?
同調査では、今の時代を象徴するような結果が出ています。

1位 結婚指輪の購入 68.0%
2位 身内だけの食事会 54.7%
3位 SNSで結婚を報告 38.0%
4位 メールで結婚を報告 29.1%
5位 ハネムーン(新婚旅行) 27.2%
6位 婚約指輪の購入 24.2%
7位 ドレスや和装など婚礼衣装を着用して写真撮影 24.1%
8位 ハガキや年賀状で結婚を報告 19.0%
9位 電話で結婚を報告 17.1%
10位 写真撮影(婚礼衣装以外を着用) 3.5%

この結果から、結婚式を挙げないカップルが代わりにすることとして「結婚指輪・婚約指輪の購入」「食事会」「結婚報告」「記念写真撮影」というキーワードが見えてきました。

3-1.結婚指輪・婚約指輪を購入

結婚式を挙げないカップルにとっても、結婚指輪や婚約指輪は格別な存在です。結婚式という大きなイベントを行わないと結婚した実感がなかなか湧いてこないものですが、結婚指輪を購入して身に着けていると「独身の頃とは違う」という現実を肌で感じることができます。
また、結婚式は終わってしまえば形としては残りませんが、指輪は愛の証としてずっと存在し、貴金属としての価値もなくなることはありません。
「式にお金をかけるのはもったいないけど結婚指輪や婚約指輪は気に入ったものを選んでそこにお金を使う」というのが、ナシ婚カップルの主流の考え方といえます。

3-2.両家で食事会

結婚は、当人同士の気持ちだけで決められるものではありません。これまで他人同士だった家と家が親戚関係となるわけですから、家族の理解や賛同は必要不可欠です。両家の親族が結婚した後も良好な関係を続けていくことが、ふたりの幸せのカギを握っていると言って良いでしょう。
結婚式のような大げさな集まりは必要ないと考えていても、新郎新婦の両家の親睦を深めるために顔合わせを兼ねた食事会を開くことは、両家に対するふたりの気遣いでもあります。

新郎新婦の両親にとって、相手やその家族がどのような人たちなのかはとても気になるところです。食事会は、両親や家族がこれからのふたりを見守り応援するための貴重な場ともなります。

3-3.SNSやメールで結婚報告

結婚式という形には興味がないカップルも、周囲への報告は必要と考えています。「水くさい」「私だけ知らなかった」と不快な思いをさせてしまってはお互いに気まずい思いをしてしまいます。
その報告の仕方も実に現代的です。結婚報告といえば、かつては対面で話すことが当たり前と考えられていましたが、今はSNSやメールを使って効率よく発表することが主流です。

ただし、SNSでの報告は「費用もかからずに手軽」「遠方に住む人や付き合いの浅い人にも広く報告しやすい」という利点がある反面、「リア充自慢と思われそう」「知られたくない人にも広まる可能性がある」という心配の声も上がっているので注意が必要です。

3-4.記念写真を撮る

結婚式を挙げないカップルにとっても、結婚という人生の大きな節目を記録に残したいと願い、記念写真を撮る傾向は顕著に表れています。
式にお金をかけたくない、目立ったことはしたくないと思っていても、ウエディングドレスや婚礼衣装は着たいと願う女性は多いものです。
この機会を逃したら一生着ることはないかも知れないのですから、その気持ちももっともですね。

結婚した証として記念写真を新居に飾れば、結婚指輪と同様に結婚した実感も湧き、新婚当時の嬉しい気持ちをいつまでも忘れずに、幸せに包まれながら暮らすことができます。
さらに、結婚記念写真があるとSNSやメール、年賀状での報告などにも使えて重宝します。

4.結婚式を挙げないカップルやっておくべきこと

さまざまな理由で「結婚式を挙げない」と当人同士が考えたとしても、勝手に結論を出しては後々もめる原因となります。

結婚は一時的な気持ちで突っ走るものではなく、その先の人生において長く続いていく生活そのものです。一点の曇りもなく新生活をスタートさせるために、結婚式を挙げないカップルがやっておくべきことを確認しておきましょう。

4-1.両親へ相談

前述のとおり、結婚はふたりだけの問題ではありません。結婚して両家が姻戚関係を結ぶことになるわけですから、結婚の報告は両親へ必ずしましょう。
そして、結婚式を挙げないことに関してはきちんと相談することです。
自分たちはドライに考えていたとしても、親の方こそ結婚式を楽しみにしている場合があります。
また、しきたりを重んじる家では結婚式という行事を大切に考えていて、「式を行うのは当然のこと」「親戚にも顔が立たない」と反対される可能性もあります。

何よりも、お互いの考えを尊重して歩み寄る姿勢が大切です。式の代わりに両家へお披露目会を開く、結納だけは行う、神社参拝やお墓参りなどでけじめをつけるといった、お互いが納得できる落としどころを探り、後になって蒸し返されることがないよう配慮しましょう。

4-2.職場の上司へ報告

結婚はプライベートなことですが、職場への報告は必須です。結婚すると名字や住所が変わったり、社会保障の手続きなど、職場において何らかの事務処理が発生したりします。
新婚旅行など長期の休みを取るなら、仕事の進め方にも調整が必要となります。まずは早めに直属の上司へ報告しておきましょう。
上司にとっては「結婚式はあるのかないのか、あるなら招待されるのか」といった点も気になるところです。結婚報告とともに、結婚式は挙げない旨をきちんと伝えておくことも気遣いの1つです。

4-3.記念を残す

結婚前は「結婚式なんてもったいない」「形だけのものは必要ない」と考えていても、日々を過ごしているうちに気持ちが変わるということは大いにあります。

人はハレの日があるからこそ、平凡な日を慎ましく暮らすことに美しさを見いだします。「やっぱり挙げておけばよかった」「結婚した証を形として残しておけば良かった」と思い直す時が来るかもしれません。

結婚指輪や写真、ふたりだけの思い出の品など結婚をした記念となるものを残しておくことは、その価値以上に心の充実へとつながるでしょう。

まとめ

「みんな違ってみんな良い」という言葉が使われるように、横並びを好み慣例を大切にする日本人にとっても、時代とともに価値観の多様化は広がりを見せています。
自分たちらしいライフスタイルを大切にして個々を尊重する生き方は、これからも主流となり新しい歴史を作っていくことでしょう。

ただし、繰り返しになりますが結婚は本人たちだけの問題ではありません。主役はふたりであることは確かですが、家族や周囲と切り離しては話が進まない側面も併せ持っています。結婚式を挙げないと決めたカップルでも、関係者がみな幸せな気持ちを共有できるよう、結婚式に代わる自分たちらしい形をぜひ見つけてください。