はじめに
昔と違って今は多様化の時代。結婚に対してもさまざまな考え方が受け入れられるようになり、かつての「人並みが一番」という横並びの精神は薄れつつあります。そうはいっても、女性にとって特に気になるのが結婚年齢です。「適齢期」という言葉はすっかり影を潜めましたが、現在の日本では何歳くらいで結婚する人が多いのでしょうか。
今回は、初婚の平均年齢や地域による違い、年の差など、結婚年齢にまつわる実際のところをご紹介します。
目次
1.日本の結婚平均年齢
日本の結婚平均年齢から、特に初婚時の平均年齢を確認していきます。
ここからは、厚生労働省発表の「平成28年人口動態統計月報年計(概数)の概況)」をもとに見ていきましょう。
1-1.初婚平均年齢は男性が30.7歳、女性が29.0歳
報告書によると平成27年では、「夫妻とも初婚」の場合、夫は31.1歳、妻は29.4歳という結果が飛び込んできました。
それぞれの推移を確認すると……
10年前に比べて男性が1.3歳、女性が1.4歳上昇しています。
さらに20年前と比較すると男性が2.6歳、女性が3.1歳と、特に女性の上昇率が高いことが分かります。
女性の社会進出が当たり前となり、もう少し仕事を頑張ってから……と考えて結婚を先延ばしにする流れも一因にありそうです。
また、厚生労働省の別資料「平成28年度人口動態統計特殊報告(婚姻に関する統計)の概況」では、昭和50年女性の初婚平均年齢が24.4歳、昭和60年では25.3歳とあり、「クリスマスケーキ同様、女性は25歳までに結婚しないと売れ残る」と言われてきた時代と重なります。
平成になってからは平均年齢もどんどん上昇し、「結婚適齢期」という言葉は今や死語といって良いでしょう。
1-1-1.女性の初婚年齢の上昇とともに未婚者も増えている
女性の初婚平均年齢は男性よりも大きく変化しています。
これは同調査のグラフやデータで見ると明らかです。
女性の初婚年齢の割合をグラフ化したものです。20年前と比べると、山が大きくずれているのが分かります。
10年前の平成18年との比較ではあまり大差はないようにも見えますが、注目すべきは31歳前後を境に現在の方がグッと初婚の割合が増えているところです。
初婚年齢の高齢化は顕著で、今や40歳を過ぎての初婚も珍しくありません。
5歳単位で初婚率を調べたものをチェックしてみましょう。
25歳~29歳の初婚率が昔と変わらず大半を占めています。しかしかつては2番目に多い層は20~24歳でしたが、この10年で30~34歳の層にずれてきています。
さらによく見てみると、すべての階層において初婚率の数字が低下しています。これは要するに結婚しない人が増えているということであり、非婚化や少子化など、現在の問題が浮き彫りとなった形です。
1-2.都道府県別の初婚平均年齢
初婚の平均年齢に地域差はあるのでしょうか?
同様のデータをもとに都道府県別の初婚平均年齢をランキング別にしました。
1-2-1.初婚平均年齢が低いのは西寄りの地域
【平均初婚年齢が低い都道府県(男性)】
1位 | 宮崎県(29.9歳) |
2位 | 山口県(30.1歳) |
3位 | 佐賀県(30.2歳) 長崎県(30.2歳) |
【平均初婚年齢が低い都道府県(女性)】
1位 | 山口県(28.6歳) |
2位 | 福島県(28.7歳) 島根県(28.7歳) 宮崎県(28.7歳) |
3位 | 岩手県(28.8歳) 岐阜県(28.8歳) |
男女ともに結婚が早い地域は西寄りが多い結果となりました。
ところで、リクルート総研「結婚トレンド調査2018」に興味深いデータがあります。
時代とともに実施率が著しく低下している行事に「結納」が挙げられています。結納の実施率は全国平均14.1%であるのに対して、九州地方は圧倒的1位の28.8%でした。ちなみに山口や福島も上位に入っています。
このことから、結婚に対する地域的な考え方や風潮が早期結婚を後押ししているといえそうです。
1-2-2.初婚平均年齢の高さは男女そろって東京が1位
【平均初婚年齢が高い都道府県(男性)】
1位 | 東京都(32.3歳) |
2位 | 神奈川県(31.9歳) |
3位 | 埼玉県(31.5歳) 山梨県(31.5歳) |
【平均初婚年齢が高い都道府県(女性)】
1位 | 東京都(30.5歳) |
2位 | 神奈川県(30.0歳) |
3位 | 埼玉県(29.6歳) 千葉県(29.6歳) 山梨県(29.6歳) 京都府(29.6歳) |
男女ともに1位が東京都、2位が神奈川県、3位には埼玉県が入り、首都圏が圧倒的に上位を占めています。
また、女性の平均が30歳を超えているのは東京都と神奈川県のみという点も興味深いところです。
仕事に打ち込む女性が増え、遊ぶ場所にも不自由しない首都圏は、独身を謳歌したい女性にとって居心地の良い場所であり、婚期を遅らせる要因の1つとなっていることに間違いありません。
1-3.パートナーとの年齢差はどのくらい?
親子ほど年の差が離れたカップルも特別な話ではありませんが、一般的にパートナーとの年齢差はどれくらいなのでしょうか。
厚生労働省「平成28年度人口動態統計特殊報告(婚姻に関する統計)の概況」より
これは昭和50年から平成27年までの平均結婚年齢や年齢差の推移を表したものです。
男女がそれぞれ初婚か再婚かによって、年齢差も大きく異なる結果となりました。
【夫妻ともに初婚】
昭和50年 | 男性が2.5歳上 |
平成7年 | 男性が2.2歳上 |
平成17年 | 男性が1.7歳上 |
平成27年 | 男性が1.7歳上 |
【夫が初婚、妻が再婚】
昭和50年 | 女性が0.3歳上 |
平成7年 | 男性が0.2歳上 |
平成17年 | 男性が0.2歳上 |
平成27年 | 女性が0.1歳上 |
【夫が再婚、妻が初婚】
昭和50年 | 男性が5.7歳上 |
平成7年 | 男性が7.8歳上 |
平成17年 | 男性が7.7歳上 |
平成27年 | 男性が6.7歳上 |
【夫妻ともに再婚】
昭和50年 | 男性が4.2歳上 |
平成7年 | 男性が4.1歳上 |
平成17年 | 男性が4.2歳上 |
平成27年 | 男性が3.8歳上 |
初婚同士の年齢差は1.7歳をキープしていて、2歳前後の中で推移しているようです。妻の方が年上となったのは夫が初婚で妻が再婚のケース、反対に歳の差が離れたのは夫が再婚で妻が初婚のケースです。
どちらかが再婚の場合、前パートナーとの婚姻期間があるのですから年齢が高くなるのは当然のことといえます。
いずれにしても、愛し合っている男女に年齢は関係ありません。当人同士は周りが考えるほど年齢差を気にしていないことは言うまでもないですね。
2.世界の結婚平均年齢
日本の初婚平均年齢は年々高くなり、男性31.1歳、女性29.4歳と判明しましたが、世界各国ではどうなっているのでしょうか。
OECD(OrganisationforEconomicCo-operationandDevelopment)の調査(2016年)から、主要各国の初婚時点での平均年齢を男女別・国別のランキングで見てみましょう。
【世界の男性結婚年齢国別ランキング】
1位スウェーデン36.5歳
2位スペイン35.1歳
3位イタリア34.7歳
3位デンマーク34.7歳
3位ノルウェー34.7歳
~~~~~~~~
12位イギリス33.2歳
~~~~~~~~
15位韓国32.7歳
~~~~~~~~
23位日本31.1歳
~~~~~~~~
31位アメリカ29.5歳
【世界の女性結婚年齢国別ランキング】
1位スウェーデン33.8歳
2位スペイン33.0歳
3位フランス32.2歳
3位デンマーク32.2歳
~~~~~~~~
10位イギリス31.2歳
11位ドイツ31.1歳
~~~~~~~~
18位韓国30.1歳
21位日本29.4歳
~~~~~~~~
31位アメリカ27.4歳
男女ともに1位がスウェーデン、2位がスペインという結果でした。日本は晩婚化が進んでいるといっても、世界的には男性23位、女性21位と特別高いわけでもないような気がします。
ただし、上位に入っている北欧やヨーロッパ各国は、結婚という手続きを取っていないだけの事実婚カップルが多いことも忘れてはいけません。
ちなみにアメリカは日本よりも平均初婚年齢が低いですが、過去からの推移を見ると日本よりも平均年齢の上昇率が高く、晩婚化のスピードが速い状況です。
3.結婚年齢と離婚率は関係ある?
「若すぎる結婚は離婚しやすい」とちまたでよく耳にしますが、はたして本当なのでしょうか。
厚生労働省が発表した「平成21年度「離婚に関する統計」の概況:離婚の年次推移」に、結婚年齢と離婚率に関するデータがありました。
3-1.結婚が早いと離婚率は上がる
まずは夫のグラフです。
離婚率の1位が20~24歳、2位が19歳以下で数字が拮抗(きっこう)し、3位の25~29歳を大きく引き離しています。
妻のグラフは年齢による差がさらに顕著に表れています。
妻側の離婚率は19歳以下がダントツの1位、次いで20~24歳、25~29歳と続きます。
このことから、やはり結婚年齢が若いと離婚する確率が高まることは確かのようです。
とくに女性の19歳以下は、離婚率が7%とずば抜けて高いことが分かりました。
一時の「好き」という感情だけで結婚まで突っ走るのは危険ということです。
基本的に、結婚してからの人生の方が長いです。幸せな家庭生活を末永く続けていくためにも、結婚の決断は急がずじっくりと考えた方が将来のためといって良いでしょう。
3-2.年収が低いほど離婚率は上がる
結婚年齢と離婚率の相関関係は大きいことが分かりました。では、その他の視点ではどうでしょう。
CUCURUが500名の女性に行ったアンケート調査では、離婚経験者に「当時の夫の年収」を聞いたところ、1位が300万円未満、2位が300~500万円、3位が700~1,000万円という結果が紹介されています。
また、BusinessJournalでは「離婚したい夫の年収は、300万円未満(回答率16.9%)、300万円以上400万円未満(同10.3%)、500万円以上600万円未満(同7.4%)と、年収が低くなるほど離婚意識が高い。世帯年収別でも同様の傾向がある」と結論づけています。
年収が低いほど離婚率は上がり、反対に高所得者ほど離婚率は下がる傾向にあることも見逃せない事実です。
まとめ
結婚は人生の中でもトップクラスの一大イベントです。結婚適齢期という言葉は過去のものとなり、仕事や自分のやりたいことを優先しながらそれぞれのタイミングで結婚を検討できる良い時代となりました。
末永く共に暮らしていける最高の伴侶を見つけるには、焦らないことです。不必要に先延ばしにすることはありませんが、早まった考えは後悔のもと。
いつまでも夫婦円満でいられるよう、結婚を決める前にじっくり考える「心のゆとり」を持ちながら幸せをつかみ取ってくださいね。