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婚約指輪の歴史をたどる~今の購入率はどうなっているの?~

婚約指輪の歴史

はじめに

プロポーズのときに婚約指輪を渡す行為はお決まりの求婚スタイルであり、そこに疑問を持つ人はほとんどいません。映画やドラマの名シーンでは誰もが婚約指輪とプロポーズをセットで思い浮かべることでしょう。

婚約指輪は今やプロポーズの圧倒的定番アイテムとして不動の地位を確立してているわけですが、そもそも女性に贈るという行為はいつから始まったのでしょうか。
今回は、その歴史をたどるとともに、最近の購入率の推移やマーケットの規模、お返しの必要性について掘り下げます。

1.婚約指輪の歴史

婚約指輪の歴史は海外から始まり、長い時を経て日本へとその習慣が広まっていきました。
婚約指輪はただきれいだから贈るという代物ではなく、そこにはさまざまな意味が込められていたようです。
それでは海外と日本、それぞれの婚約指輪の歴史をひもといていきましょう。

1-1.海外での始まりは古代ローマ時代から

婚約指輪の歴史は古代ローマ時代から始まります。
指輪はその切れ目のない丸い形から輪廻と永遠を意味し、まさに普遍の象徴でした。
そして、この時代は結婚よりも婚姻の契約=婚約の方が重要視されていたため、結婚の約束を誓い公に示す証として指輪を贈る習慣が生まれました。

女性が婚約指輪を受け取りそれを着けるということは、贈り主の男性に対して純潔を守る義務を受け入れたことを意味します。
もしこの契約を破ったら大きな責任を負わなくてはならず、当時の婚約指輪には今以上の重みがあったことがうかがい知れます。

1-2.素材は鉄から金、そしてダイヤモンドへ

当初の婚約指輪は力の象徴である鉄で作られていました。これは古代ローマの博物誌家プリニウスが婚約の誓いの証として鉄の指輪を贈ったと書物に記していることからも明らかです。

その後、時代が進み2世紀頃になると金製の指輪が生まれ、恋人同士の永遠の愛の印として使われるようになりました。

15世紀になると、婚約指輪にダイヤモンドが使われるようになります。
ダイヤモンドはその美しい輝きもさることながら、最も硬い天然鉱物であることも大きな特徴であり、それは「不屈、無敵」を示していました。
ダイヤモンドの婚約指輪は愛し合う2人の「強固な絆」と「普遍的なの愛」のシンボルとなったのです

歴史上、最初のダイヤモンドの婚約指輪は、ハプスブルク家のマキシミリアン大公(後のローマ皇帝)がシャルル公の娘、ブルゴーニュ公女マリーと婚約する際に贈られたものといわれ、その後王侯貴族の間で流行しました。

ダイヤモンドの指輪が世間一般で広く使われるようになったのは19世紀になってからです。この頃の産業革命によって王侯族以外の一般市民も富を得るようになり高価なジュエリーを買えるようになったこと、さらには鉱脈が発見されて供給量が大きく伸びたこともダイヤモンドの普及を助けました。

1-3.左手の薬指に着ける理由

「婚約指輪といえば薬指に着けるもの」と現代女性は当然のごとく刷り込まれていますが、そもそもなぜ薬指なのでしょうか?

婚約指輪を薬指に着けるという風習も、実は古い歴史にひも付いています。
古代エジプトでは、左手の薬指は心臓につながる血管が通っていると信じられていました。そのため、最も大切な指に指輪を着けることで永遠の愛を誓ったのです。

いつまでも変わらぬ愛の絆を婚約指輪に託し、最も重要とされた指にはめる様は、結婚という契約が当時の人々の暮らしの中でいかに大きな出来事であったかを現代に伝えてくれます。

1-4.日本での始まりは高度成長時代

日本で婚約指輪の概念が定着したのは1960年代のことです。高度経済成長の最中、ちょうど東京オリンピックが開催される前後のタイミングでした。
戦後の復興が進み、1億総中流時代と叫ばれる中で憧れの指輪を奮発して手に入れる……当時のエネルギッシュな時代背景に、ジュエリーの存在がピッタリとはまったのでしょう。
当時はダイヤモンドではなく、真珠やルビー、サファイヤ、誕生石などが主流であり、好みによってさまざまな石の婚約指輪が存在していました。

その後1970年代になると、大手ダイヤモンド商による大々的なキャンペーンが行われ、ダイヤモンドの婚約指輪が定番として一気に広まっていきました。
ダイヤモンド付きの婚約指輪は今もなお絶対的な人気を博し、結婚を夢見る女性の憧れの的であることは言うまでもありません。

2.婚約指輪の購入率は減少している?!

太古の時代から大きな意味が込められていた婚約指輪。現代の日本でも永遠の愛を誓う証としてプロポーズに欠かせないアイテムであることに違いはありません。
しかし、時代の流れとともにその存在価値にも少しずつ変化が見られるようです。

その点を、婚約指輪を買う人の割合やマーケットの推移から検証してみましょう。

2-1.婚約指輪を買う人の割合は一見横ばい

リクルートブライダル総研による「ゼクシィ結婚トレンド調査2018」によると、婚約記念品が「あった」と回答した人の割合は70.6%で、そのうち記念品の内容が「婚約指輪」と回答した人が90.6%でした(全国推計値)。このことから、全体の63.9%の人が婚約指輪を購入していることが分かります。

そして同じ調査方法で発表された2010年のデータを確認すると、婚約記念品が「あった」と回答した人の割合は70.6%で、そのうち記念品の内容が「婚約指輪」と回答した人が90.9%、つまり婚約指輪の購入率は全体の64.1%と、2018年の調査とほとんど変わらないように映ります。

婚約指輪の購買率64%という数字を高いと見るか低いと見るかは人それぞれですが、8年前とほとんど変わらないという点は意外な気もします。

しかし、1つ注意しなくてはならないのは、調査対象者が『ゼクシィ』読者またはウェブ会員であり、お金をかけて結婚式に臨みたい(または結婚したい)人中心の意見ということです。

婚約指輪に興味がない、または購入しない層は、そもそも結婚という形に対して興味がないタイプだったり熱心に研究しないタイプだったりするとも考えられます。

それでは、実際の市場規模の観点から見た場合はどうでしょう。

2-2.現在のマーケット規模は縮小傾向

矢野経済研究所が発表したブライダルジュエリー市場の推移を確認すると、規模自体が明らかにに減少傾向であることが分かります。

ここには婚姻組数の減少やそもそもの結婚年齢層の減少など、さまざまな要因が複合的に絡んでいますが、特に注目したいのは2011年を境に婚約指輪と結婚指輪の市場規模が逆転している点です。

婚約指輪は「給料の3倍」と言われたように、基本的に結婚指輪よりも単価は高いはず。それなのに結婚指輪よりも規模が縮小しているということは、ダイヤモンドのサイズを小さくしたりして1個当たりの単価が下落しているほか、購入者が減ってきている現状を物語っているといえるでしょう。

婚約指輪を買わなかった人の理由第1位は「お金がもったいないから」、次いで「普段身に着けるものではないから」「結納しなかったので必要なかった」「婚約指輪に意味を感じないから」と続きます。

現実重視であえて婚約指輪を用意しなかった人が多く、結婚に対する考え方の多様化が進んでいるという結果が見えてきました。

3.ところで婚約指輪のお返しは必要なの?

ところで、婚約指輪をもらった女性はお返しをしているのでしょうか。
先のデータでは、いわゆる婚約指輪などの婚約記念品をもらった人のうち、返礼品を贈った人が45.3%、贈らなかった人が49.1%で、わずかに贈らなかった人の割合の方が多いという結果でした。

お返しの品物は腕時計が圧倒的で、次にスーツ、財布と続きます。いずれも身に着けるもので、実用的で長く使える物に集中しています。

お返しをするかしないかは、地域のしきたりや本人同士の意見、それぞれの家の考え方によって違ってきます。
どちらにしても、のちのち両家でもめないために、それぞれの両親に一言話しておく必要があるでしょう。

まとめ

プロポーズといえば婚約指輪、結納といえば婚約指輪……婚約指輪は結婚を考えるカップルにとって必ず一度は頭をよぎる定番ジュエリーです。

映画のワンシーンではドラマチックにきらめき、甘いプロポーズの言葉との相乗効果で観ている女性の心をわしづかみにする婚約指輪ですが、私たちが考えるよりもはるか昔から存在し、愛し合うふたりを強固に結びつけるための大きな役割を持っていたという史実に改めて驚かされます。

時代の流れで価値観の多様化は進み、婚約指輪に対する捉え方も少しずつ変わってきています。
時代が変わろうとも世間がどうであろうとも、何より大切なのはふたりの気持ちです。
目に見えない愛情を形にしてふたりの永遠の絆を確かめられる存在。
どれだけ時が流れようと、婚約指輪がその一役を担うことはこれからもずっと変わらないでしょう。