はじめに
結婚指輪は、結婚の記念に夫婦が互いに贈り合うジュエリーとして日本でも広く認知され、既婚者なら誰もが当たり前のように身に着けています。
そもそも結婚指輪の始まりは紀元前のヨーロッパにあると言われていますが、日本に伝わり普及したのはいつ頃なのでしょうか。
また、今の結婚指輪の相場はどれくらいなのでしょう。
本記事では、日本における結婚指輪の歴史と気になる平均価格の推移、そして高価な結婚指輪をなくさないためのコツについて紹介します。
目次
1.結婚指輪が日本に普及したのはいつ頃?
結婚指輪の起源は、9世紀のローマにあるといわれています。婚約指輪は古代ローマ時代からあったことを考えると、結婚指輪の習慣はずいぶん年月が経ってから広まったといえます。
ヨーロッパでは1,000年以上前から存在していた結婚指輪ですが、日本にやって来たのはそれからずっと後の話です。
1-1.結婚指輪の歴史は明治時代から
日本で結婚指輪が普及し始めたのは、明治時代のことです。文明開化による西洋文化の波が一気に国内に押し寄せる中、キリスト教式の結婚式も広く知られるようになりました。
欧米スタイルの結婚式で日本国民が初めて目の当たりにしたのが結婚指輪の交換です。当時のハイカラなカップルがだんだんと教会式の結婚式を選択するようになり、それと並行して結婚指輪も一般的に認知され始めました。
またこの頃、結婚指輪の広告が登場したことで全国的にますます注目を集めるようになりました。
大正時代には結婚指輪を身につける習慣が次第に定着し、式のスタイルに関わらず結婚するときの必須アイテムとして圧倒的地位を確立しました。
以降、結婚指輪の人気は衰えることなく、今なお夫婦の絆を深める定番ジュエリーとしてその存在感を発揮しています。
1-2.日本では結婚指輪と婚約指輪の歴史が逆転
結婚指輪が一般的に知られるようになったのは明治時代からですが、婚約指輪が定着したのはさらにずっと後で、昭和30年代のことです。それまであったダイヤモンドの輸入制限がなくなり供給が一気に増えたことも手伝って、光り輝くダイヤモンドをセンターにあしらった婚約指輪が世間に広まりました。
時はくしくも高度成長時代の真っただ中。人々はこぞって豊かさを目指していた時代です。婚約指輪という宝飾品は時代の盛り上がりにもちょうどマッチしたというわけです。
さらに婚約指輪の人気に拍車をかけたのが、昭和40年代にジュエリー会社で大々的に行われたキャンペーンといわれています。
「婚約指輪は給料の3カ月分」という衝撃的なキャッチフレーズのもと、「プロポーズするときに欠かせないアイテム」として婚約指輪の人気が定着していきました。
(ちなみに今の婚約指輪の相場はもっと低く、給料の1カ月分程度です。)
そもそも婚約指輪の起源は発祥の地ヨーロッパでは結婚指輪より圧倒的に早かったのに対し、日本での普及はその逆であるという点も興味深いですね。
1-3.ところで結婚指輪の着用率は?
今や結婚するときに欠かせない結婚指輪ですが、結婚した後、はたしてみんな毎日着けているのでしょうか。
マイナビみんなのウェディング「指輪に関する調査2013」によると以下のような結果が出ています。
- 毎日、ほぼ毎日 72.7%
- 外出するときのみ 13.3%
- プライベートの時のみ 8.8%
- 仕事のときのみ 0.3%
- つけない 3.2%
- その他 1.7%
「毎日、ほぼ毎日つける人」が7割を超えていて、主流であることが分かります。
ちなみにこのデータは、婚約指輪または結婚指輪を購入した男女(これから入籍の人、または、入籍3年以内の人)を対象としています。実際には男女別で着用率が異なるものの、大多数の夫婦が「結婚指輪は日常的に着けるもの」と考えていることに間違いはありません。
2.結婚指輪の平均価格の推移
2-1.結婚指輪(2人分)の合計金額の平均は25.4万円
結婚指輪は生活に深く根づいたジュエリーです。毎日着けるものだからお気に入りを選びたいけど相場が分からない……初めての買い物に悩むのも無理はありません。
ここからは結婚指輪の平均価格の推移を見ていきましょう。
リクルート総研「結婚トレンド調査(首都圏版)」をもとにデータを抽出すると、以下のようになりました。
結婚指輪(2人分)の平均購入金額 ※首都圏
2008年 | 20.6万円 |
2010年 | 21.5万円 |
2012年 | 21.7万円 |
2014年 | 23.9万円 |
2016年 | 25.8万円 |
2018年 | 25.4万円 |
(リクルート ブライダル総研調べ)
10年前から比べると徐々に金額が上がっていて、最近では25~26万円で落ち着いているようです。
購入金額の分布図としては、「20~25万円未満」が29%で最も高く、次いで「25~30万円未満」と「30~35万円未満」が共に13%、「10~15万円未満」と「15~20万円未満」が共に12%で続いています。
同調査の婚約指輪の平均(首都圏)は41.9万円であることを考えると、結婚指輪の方が割安といえます。
婚約指輪はダイヤモンドなどの石が付いているため、値段がはね上がります。一方の結婚指輪は毎日の着用に適したシンプルなデザインが主流のため、価格を抑えることにもつながっていることが明白な結果となりました。
それでは、夫婦で結婚指輪の値段に違いはあるのでしょうか。それぞれチェックしてみましょう。
2-2.夫の結婚指輪の金額は10~12万円に一極集中
前述同様に過去10年間の夫の結婚指輪平均額を調べると、次のような結果となりました。
夫の結婚指輪 平均購入金額 ※首都圏
2008年 | 9.5万円 |
2010年 | 10.1万円 |
2012年 | 9.9万円 |
2014年 | 10.9万円 |
2016年 | 11.9万円 |
2018年 | 11.6万円 |
夫婦2人分の結婚指輪の総額と並行して推移しているようですね。
では価格帯の分布図はどうでしょう。
「10~12万円未満」が28%で最も高く、次いで「8~10万円未満」が13%、「12~14万円未満」が12%、「14~16万円未満」が11%となっています。
図を見れば明らかですが、10~12万円の価格帯が突出しています。「僕の指輪は大体10万くらいでいいよ」、そんな男性の声が今にも聞こえてきそうです。
また、それ以外の価格帯では10万円未満にボリュームゾーンがあり、男性は高額な指輪は求めていないことは明らかです。
そもそも、男性の結婚指輪は女性の指輪よりシンプルで宝石が付いていないタイプの物が圧倒的に多いですから、その分値段が安く抑えられることも前提としてあります。
2-3.妻の結婚指輪は夫よりやっぱり高め
それでは、妻の結婚指輪の平均価格はどうでしょう。
妻の結婚指輪 平均購入金額 ※首都圏
2008年 | 11.0万円 |
2010年 | 11.5万円 |
2012年 | 11.9万円 |
2014年 | 13.0万円 |
2016年 | 14.1万円 |
2018年 | 13.7万円 |
どの年も夫の指輪より約2万円高い結果でした。
夫と同じ店舗やメーカー、ブランドで購入したとしても、妻の結婚指輪の方が凝ったデザインであったり小粒のダイヤモンドをちりばめた華やかなタイプであったりすることも多く、それがそのまま金額に反映している形です。
購入金額の分布としては、「10~12万円未満」が21%で最も高く、「12~14万円未満」が17%、「14~16万円未満」が11%、「8~10万円未満」が10%と続きます。
夫の分布と明らかに違って、10~12万円よりも高額の価格帯にボリュームソーンがあるのが分かります。
「君の指輪をまず好きに選んでね。僕の指輪は二の次さ……」妻への深い愛情がここにも隠されています。
まとめ
日本における結婚指輪の歴史はまだ浅く、普及したのは近代に入ってからですが、今ではすっかり市民権を得て、夫婦にとっては最もなじみ深いジュエリーの1つに違いありません。
結婚指輪の平均価格は大きく乱高下することなく、毎日身に着けるものだからこそ、夫婦が堅実に購入している様子がうかがえます。
結婚指輪に込められた思いをいつまでも忘れずに、左手の薬指から発せられる幸福感を実感しながら毎日を過ごすことができたら、それは最高の人生ではないでしょうか。
何気ない日常においても互いに感謝する気持ちを忘れずに、いつまでも仲良く暮らしてくださいね。