結婚指輪は永遠の愛を誓ったカップルにとって、最も大切なジュエリーの1つです。
いつだってお互いを近くに感じていられるように、または幸せの証として、毎日身に着けている人も多くいます。
そこで心配になるのが、肌に直接触れることで発症する「金属アレルギー」のこと。
“せっかく買ったのに金属アレルギーで指輪をはめることができない……。”
“指輪を着けたいけどかゆみや湿疹ができてしまう……。”
そんな思いは誰だってしたくありません。
この記事では、結婚指輪を買う前に絶対に知っておきたい「金属アレルギー」について詳しくご紹介します。
目次
1.金属アレルギーとは
金属アレルギーとは、ピアスや指輪、ネックレスなどの装飾品が肌に直接触れることで発症する皮膚炎のことです。
厚生労働省の「2017年度 家庭用品等に係る健康被害病院モニター報告」(※1)によると、皮膚障害に関して最も多く報告された家庭用品の種類は「装飾品(43.6%)」で、皮膚障害の種類は「アレルギー性接触皮膚炎(81.1%)」と「刺激性接触皮膚炎(14.7%)」がほとんどを占めています。
具体的な事例として、次のようなことが報告されています。
- 1年ぶりにピアスを使用したところ、使用開始1週間後より、かゆみと皮疹が出現した。(24歳 女性)
- 1年前より腕時計の周囲の皮膚がかぶれるようになった。近くの病院で外用薬を処方してもらい、腕時計の装着をやめたら改善した。(26歳 女性)
- メガネを着用したところ耳のかゆみが現れ、皮膚がジュクジュクしてきた。耳の後ろに紅斑が見られる。(42歳 男性)
装飾品による皮膚障害といっても、さまざまなケースがあることが分かります。
ここで、皮膚障害の中でもいくつかあるアレルギーの種類について確認していきましょう。
1-1.アレルギーの種類
アレルギーの種類は、モノが直接肌に触れることによる「接触皮膚炎」と、何らかの形で金属が体内に吸収されて引き起こされる「全身性金属皮膚炎」の2種類があります。
1-1-1.アレルギー性接触皮膚炎
接触皮膚炎のうち、化粧品や洗剤、塗料、皮革、金属イオンなどに反応して炎症を起こすことを「アレルギー性接触皮膚炎」といいます。中でも特に金属が原因で発症するものを「金属アレルギー」といいます。
1-1-2.刺激性接触皮膚炎
接触皮膚炎のうち、掃除用洗剤の強い薬品や硫酸などの化学薬品が直接肌に触れることで急激に皮膚に炎症を起こすことを「刺激性接触皮膚炎」といいます。
薬品などを触ったことで発症する刺激性接触皮膚炎は、ほとんどの人が急激な炎症を起こすのに対し、アレルギー性接触皮膚炎は体質や状況によってアレルギー反応を起こす人と起こさない人がいるため、この2つには大きな違いがあります。
1-1-3.全身性金属皮膚炎
全身性金属皮膚炎は接触皮膚炎のように金属が直接肌に触れることで生じるものではなく、歯科治療で使う銀歯や食材に含まれるごく微量の金属が、口の粘膜や消化器官を通して体内に吸収されることで症状が現れます。また、体内に吸収された金属が汗などと一緒に皮膚の表面に出て、それによりかゆみや炎症が現れる場合もあります。
1-2.金属アレルギーの症状
接触皮膚炎としての金属アレルギーの症状は、金属と接触した直後あるいは数日経ってから、皮膚が赤くなったり湿疹やかゆみが出てきたりします。
悪化すると発熱を引き起こす場合もあるため、アレルギーを軽く考えず、慎重かつ迅速に対処しないとのちのち後悔することになります。
1-3.アレルギーの出ない金属はない
金属アレルギーは、汗などにより金属が微量に溶けて金属イオンとなることで生じます。~金属が溶け出す(イオン化)するという現象はあらゆる金属で起こり得るため、基本的にはどの金属であってもアレルギーを引き起こす可能性はあります。
ただし、金属の種類によってアレルギーを起こしやすいものと起こしにくいものがあるため、今後、金属アレルギーの心配を減らしたい人は指輪の素材選びにも注意を払う必要があります。
1-4.今は大丈夫でも今後発症する可能性は誰にでもある
金属アレルギーは生まれつきの体質だけでなく、環境や普段の生活習慣によって誰でも突然発症する可能性があります。今が大丈夫だからといって、この先一生金属アレルギーにならないというわけではありません。そして、一度アレルギー反応が出てしまうと、完全に治すことはなかなか難しいのが現状です。
アレルギーを起こす要因をできるだけ遠ざけて、安心していつまでも結婚指輪を着けていられるよう、日頃から気を配ることが大切です。
1-5.金属アレルギーになりやすい人とは
誰でも金属アレルギーになる可能性はありますが、特になりやすい人にはそれなりの特徴があります。次のことが「自分に当てはまる」と思ったら、注意しておいた方が良いでしょう。
1-5-1.汗をかきやすい体質の人
金属アレルギーは、汗などにより金属が溶けてイオン化することで生じやすくなります。汗をかきやすい人は特に注意が必要です。
また、夏の暑い季節やスポーツを楽しんだ後は自分が思った以上に汗をかいているものです。汗っかきでない人も、油断は禁物です。
1-5-2.金属製のアクセサリーを頻繁に着けている人
金属製のアクセサリーをいつも着けていたり、たくさん着けていたりする人は、金属アレルギーを起こしやすくなります。特に皮膚を貫いているピアスは表面の皮膚だけでなく真皮にも触れているため、アレルギー症状が出やすくなります。
同様に、アートメイクやタトゥーのインクにも金属が含まれていることがあるため気をつけなくてはなりません。
1-5-3.食品にも注意しよう
そもそも金属は自然界に存在するものです。ですから当然、食品にも微量の金属成分が含まれているものがあります。過剰に摂取すると場合によってはアレルギー症状を誘発する
可能性もあります。
「何事も過ぎたるは及ばざるがごとし」
一定の食品ばかりを過剰摂取することは避けた方が無難です。
ちなみにアレルギーを引き起こしやすい金属(ニッケルやコバルトなど)を多く含む食品の一例として、豆類・玄米・海藻類・チョコレート・タバコなどがあります。
1-6.金属アレルギーがなくても皮膚炎を起こす場合がある
指輪を着けて皮膚炎が生じたからといって、必ずしもそれが金属アレルギーとは限りません。洗剤や手荒れ、乾燥などによる皮膚炎や指輪の内側についた汚れが原因のかぶれ、指輪の内側が蒸れて汗をかくことであせもが生じている場合もあります。
一時の症状だけで「ついに金属アレルギーになってしまった……」と落ち込むのは時期尚早かもしれません。
そのかぶれ、本当に金属アレルギーですか?
他の理由による皮膚炎を疑ってみることも忘れないでください。
2.金属アレルギーをできるだけ避ける結婚指輪の選び方
種類や素材に関わらず、どの金属もアレルギーを引き起こす可能性はありますが、中でも金属アレルギーを起こしやすいタイプとそうでないタイプがあります。
結婚指輪を選ぶときには使われている金属の種類を確認して、アレルギー症状が出やすい素材を避けると不安が軽減されます。
2-1.特に気をつけたいニッケルアレルギー
金属アレルギー性接触皮膚炎を起こす可能性のある身の回りの金属の中でも、特にニッケル、コバルト、クロム、水銀にアレルギー反応を示した事例が多いとの報告(※1)があります。
※1「検討化学物質(18物質)に係る評価シート」
使用金属の種類やパッチテストのデータ(※1)から、アレルギーの原因金属として特に可能性が高いのがニッケルです。二ッケルアレルギーの症状は皮膚に痒みや紅斑が現れ、さらに進むと小水疱になり、悪化すると化膿します。
アレルギーを起こしやすいニッケルですが、とても便利な素材として私たちの生活に根付いた金属でもあります。
食器や台所で用いるステンレス鋼、メガネやワイシャツ、女性下着に用いる形状記憶合金、50円・100円・500円硬貨の白銅にも高い比率でニッケルが用いられています。
貴金属以外のニッケル含有金属(ステンレス鋼、形状記憶合金)などによるニッケルアレルギー報告は極めて少ないですが(日本ジュエリー協会技術部会が行った調査による)、ピアスのパーツとしての使用はやめた方が無難です。
針やキャッチおよび耳たぶに直接接する部分は、特にニッケル含有金属を含まない素材を選びましょう。
これはピアッシング(耳たぶに穴をあけること)時に、その傷から出る体液によって金属イオンが溶け出し、金属抗体を作る確率が高くなるためです。
2-2.その他に気をつけたい金属
ニッケル以外にも、アレルギーを起こしやすい金属として気をつけるべき金属はいくつかあります。
ここでは、特に押さえておきたい素材を紹介します。
2-2-1.鉛
鉛は体内に入ると危険な金属です。
鉛中毒になると、非常な過敏症、食欲と活力の低下、腹痛、貧血などを引き起こすこともあります。一方、体内に入る場合と違って肌への接触による影響は少ないです。
ちなみに指輪などの貴金属に鉛は含まれていません。貴金属に鉛が混入すると、素材が割れやすくなってもろくなり、加工が難しくなるためです。
ただし、金銀の製造工程の中で金銀を精錬する方法の一つとして鉛を使用することがあります。その際は鉛の破片が地金に混入しないように細心の注意が払われています。
2-2-2 カドミウム
指輪などのジュエリー製造で、金地金などを溶かすときにカドミウムを微量添加することがあります。しかし、カドミウムは沸点が低いため、製品が出来上がるまでに蒸発し、完成品には残りません。
現在ではカドミウムの蒸気が健康に良くないとの観点から、ほとんどの商品はカドミウムを添加しない素材で作られています。
2-2-3.パラジウムや銅、水銀など
パラジウムはニッケルと同様に貴金属にも使用されることがあります。ニッケルとパラジウムは似た性質を持つため、ニッケルに反応する人はパラジウムにもアレルギーが出る確率が高いため注意が必要です。
銅はカラーゴールドなどに使われることがあります。
今流行のカラーゴールドには、銅以外にもさまざまな金属が含まれています。それによってあの微妙な色合いや美しい光沢が生み出されているのです。
水銀は他の金属と触れると浸蝕します。特に金製品と接触すると白濁や変色を引き起こし大きなダメージを与えるため、注意が必要です。
「寒暖計や体温計を割ってしまい、そこから流れ出た水銀が指輪に着いた」などの事例もあります。日常の暮らしにも危険が潜んでいることを忘れてはいけません。
また水銀には強力な殺菌力があるため、海外では水銀が含まれた薬が売られています(日本では禁止)。
水銀が含まれている薬がジュエリーに付着すると「水銀の腐蝕」が起こりますので、取扱いには細心の注意が必要です。
2-3.プラチナやゴールドは金属アレルギーが出にくい
結婚指輪の代表格であるプラチナやゴールドは、金属のイオン化傾向が低く金属アレルギーが出にくい素材といえます。ただし、種類によっては一緒に配合されている素材の内容や割合が異なるため、指輪を購入する際にはチェックしておくと安心です。
2-3-1.プラチナ
一般的なプラチナにはパラジウムやルテニウムなどが数%~10%程度含まれています。
プラチナは柔らかく変形を起こしやすいため、傷を防ぎ強度を高めるために他の金属を混ぜているのです。
金属アレルギーを持っている人は、たとえ「プラチナ」でもパラジウムが数%混ざっていることでアレルギー反応が出る可能性はあります。不安な場合は、パラジウムの入っていないプラチナを選ぶようにしましょう。
配合金属や配合率を公開していないお店もありますが、購入前に聞くと教えてくれます。
プラチナ99%以上といういわゆる「純プラチナ」も存在しますが、柔らかすぎるため特に日常的に使う結婚指輪としては不向きといえます。
2-3-2.ゴールド
ゴールドはプラチナと同様、イオン化傾向は低く金属アレルギーを起こしにくい素材です。
ただし、流行のカラーゴールドはプラチナよりもさまざまな種類の金属が配合されています。
カラーゴールドはモノにより色味や輝きが異なり、自分好みの指輪を選ぶ楽しみも増します。
いっぽう、色の違いは配合する金属の内容により決まってくるため、ゴールド自体にアレルギーがない人でも配合を細かくチェックしたほうが良いでしょう。
人気のピンクゴールドにはパラジウムや銅が含まれているものが多いことも覚えておきましょう。
2-4.シルバーは本来アレルギーになりにくい
純銀は本来アレルギーになりにくい素材です。しかし、シルバーは酸化しやすく黒ずみを防止するために他の金属を配合する場合がほとんどです。
銀そのものはプラチナやゴールドと同じくイオン化傾向の低い素材ですが、配合する金属としてニッケルや銅を使用することが金属アレルギーを生じさせる要因となっています。
2-5.さらに慎重派にはレアメタル
金属アレルギーを引き起こす素材は、汗などによる金属溶解(イオン化)が大きな影響を与えています。裏を返すと、溶解しにくい金属であればアレルギーの不安は少ないということです。
最近ではチタンやジルコニウム、イリジウムなど、これまで硬くて加工の難しかったレアメタル(希少金属)を使った指輪も出ています。
ただし、レアメタルなら100%アレルギーが起こらないというわけではありません。個人差もあるため、レアメタルなら大丈夫とやみくもに決めてしまっては危険です。
3.結婚指輪を選ぶ前にパッチテストをしておこう
これまでに指輪やアクセサリーを着けてかぶれたことがある人はもちろんのこと、今何も症状が出ていない人も、今後の心配を減らすために、結婚指輪を選ぶ前にパッチテストを受けておくことをお勧めします。
結婚指輪は他のジュエリーと違って、着けている時間が長い上、一度購入したらそうそう買い替えるものではありません。買ってしまった後にアレルギーとなり、大切な指輪が着けられない……そんな思いは誰だってしたくありませんよね。事前に調べておくことで、安心して自分にピッタリの指輪を見つけましょう。
3-1.パッチテストとは
パッチテストとは、どの金属にアレルギー反応が出るのかを調べるテストです。試薬のついたばんそうこうのようなものを背中などの皮膚に貼って検査を行う方法が一般的です。
試薬に用いるものは、原因となりやすい金属や化粧品、家庭工業用品、薬剤、ゴム、プラスチック、薬剤等のほか、その人個人が疑わしいとする薬品を持参の上、行う場合もあります。
パッチテストは主に皮膚科で受けられます。中には慶応大学病院の皮膚科のように、パッチテスト外来を設けている施設もあります。
ただし、パッチテストを一度受けたからといって今後ずっと安心というわけではありません。またパッチテストで金属アレルギーが100%判明できるわけではないため、日ごろから気をつけるに越したことはありません。
3-2.パッチテストを受けるときの注意点
パッチテストは、必ず病院で行いましょう。自身で試しても正確な診断ができないばかりか、かえってアレルギーを引き起こしてしまう恐れがあります。
皮膚科によってはパッチテストを実施していないところもあります。あらかじめパッチテストを行っているか確認して、テストを受ける際は事前に予約をしておきましょう。
パッチテストは受けてから結果が分かるまで数日間かかります。テストの期間中は入浴ができない、なるべく汗をかかないように過ごすなど、いくつかの決まりごとがあります。
自分の予定を確認し、きちんとテストが受けられるようタイミングを計っておくことも大切です。
テストを申し込む前に、服用している薬などがあれば確認しておきます。アレルギーの薬をすでに服用している場合は、正確な検査ができない場合があるため、事前に医師と相談することが必要です。
4.結婚指輪を選ぶときのポイント
パッチテストで問題がなく金属アレルギーに反応がなかったからといって、この先ずっと安心というわけではありません。
金属アレルギーは体質にかかわらず、突然発症することもあります。そして一度なってしまうと完全に治すことは難しいばかりか、他のアレルギー発症を引き起こすきっかけとなる可能性があります。アレルギー予防のために、きちんと対策を取っておくことが大事です。
では、いったいどのようなことに気をつければよいのでしょう。
ここで、結婚指輪を選ぶときに注意しておきたいことを確認していきましょう。
4-1.きつすぎないサイズを選ぶ
アレルギー防止という観点において、指輪はきつすぎないサイズを選ぶことが大事です。
抜けないようにと小さめのサイズを選んでしまうと皮膚への負担が大きくなります。
ただし指のサイズは時間帯や季節、体調によって変わってきます。
靴を履くとき、午前中は平気だったのに散々歩いた夕方はきつく感じたことはありませんか?足と同様で指もむくんだり、状況によって太さが変わったりします。
サイズ直しが可能な指輪かどうかをお店の人に聞いておくとのちのちサイズ変更をしたくなった時に安心です。結婚指輪はデザインや素材によってはサイズの直しができない可能性もあるため、事前にお店のスタッフに確認しておきましょう。
また、指輪のサイズはデザインやお店によって微妙に違うこともあります。
「自分の指輪のサイズは○号だから」と決め込んで買ってしまうと「きつすぎて指に入らない」、「ゆるすぎて抜け落ちてしまう」など失敗のもととなってしまいます。
ファッションリングと結婚指輪ではサイズが必ずしも一致しない可能性があることを想定しておきましょう。
4-2.デザインにも注意
サイズの他にデザインもチェックしておきましょう。特に幅の広いタイプの指輪は控えた方が無難です。
幅が広いと皮膚に接している面積が多くなり、汗をかいたり蒸れやすくなったりします。すると、金属の溶解が進みイオン化傾向が高くなってしまいます。素材の問題以外にも、汗が指輪の汚れにつながり、皮膚炎を誘発したり、蒸れがかぶれの原因となったりします。
幅の広いタイプがお好みの人は、内側の指に直接当たる部分の面積が小さくなるよう加工したり、角の部分が指にくい込まない形状の指輪を探したりすることも一案です。
お店で結婚指輪を選ぶとき、指輪の着け心地は良いか、着け外しはスムーズにできるかどうかを何回か試し、違和感がないかをチェックすることも大切です。
5.アレルギーにならないための予防策
一旦アレルギーになってしまうと完全に治すことは難しく、一生付き合っていかなくてはなりません。そればかりか、時として別の金属アレルギーを併発する可能性も出てきます。アレルギーが発症してからでは「時すでに遅し」。日頃から金属アレルギーにならないように、意識して予防策を取っておきましょう。
次に挙げる予防策はどれも簡単なことばかり。日常のちょっとした心がけ次第でアレルギーのリスクを減らすことができます。
肝心なのは習慣化することです。日々の暮らしの中で自然と身に付けていくと、負担感もなく続けることができます。
5-1.指輪を清潔にしておく
指輪に汗が付いたまま、あるいは汚れたまま放置しないで、こまめに拭いたり汚れを洗浄したりするなどして、常に清潔な状態を保ちましょう。
アレルギー対策としてももちろんですが、指輪がきれいだと自分自身が気分良いですし、結婚指輪を大切に扱う気持ちはパートナーを大切にする思いへ直結しています。
5-2.アレルギーの出にくい素材を選ぶ
日常的に着ける結婚指輪は、プラチナやゴールドなどアレルギーの出にくい素材を選びます。
ただし、メッキ部分だけがプラチナやゴールドの場合は注意が必要です。中にアレルギーの出やすいニッケルやコバルトが含まれている指輪は、経年劣化などによりメッキがはがれ知らず知らずのうちに肌に直接当たってしまう恐れがあります。
また、プチプライスのアクセサリーはニッケルやコバルトをはじめアレルギーを起こしやすい金属が多く使用されています。お手頃価格だからといって飛びつかないで、良く考えてから購入を判断する方が賢明です。
5-3.汗をかくときは指輪を外す
金属アクセサリーにとって汗は大敵です。夏の暑い季節やスポーツなどで汗をかきやすい時は指輪を外しましょう。
冬場でも室内は意外と暖かったり、緊張する場面では手が汗ばんだりすることもあります。今日は「汗をかきそうだな」と思ったとき、または「ああ、汗が出てきた……」と感じたときにはこまめに指輪を外す習慣を付けておくと安心です。
5-4.指輪以外でも身に着ける物には気をつける
指輪や貴金属以外にも、身の回りには金属を使ったものがたくさんあります。
例えば、ワイシャツや女性下着、バッグの肩掛けチェーン、財布や手帳の金具、ヘアアクセサリーなどなど。このような金属が原因でアレルギー反応を起こす可能性もゼロではありません。
その他では革製品も要注意です。製造工程で革をなめすときにアレルギー反応の出やすいクロムを使った溶液が使われることがあります。物によっては、時計のバンド部分や手袋などで皮膚炎を起こすことも考えられます。そういった意味では、はだしで革靴を履くこともリスクを高める一因となります。
5-5.歯科金属を着けているときは口の中を清潔に
銀歯などの歯科金属を着けているときは、全身性金属皮膚炎の要因につながることも考えられます。こまめに歯磨きをするなどして、いつも口の中を清潔に保っておきましょう。
セラミックやレジンなど、いわゆるメタルフリーと呼ばれる素材は、金属物質を含まないため口腔内からの金属アレルギー発症の不安は解消されます。
心配なら金属フリーの素材に替えることも一案ですが、基本的に保険適用外の扱いとなるため費用が高くなると心得ておきましょう。
6.金属アレルギーが出てしまったら
どれだけ気をつけていても、体調の変化など思いがけない拍子に突然金属アレルギーが出てしまうことも考えられます。
万一アレルギーが出てしまったときのこともあらかじめ想定しておくと、いざというときに慌てずに済みます。
6-1.使用をやめてすぐに皮膚科へ
指輪を着けていた部分に違和感を覚えたり、「金属アレルギーかもしれない……」と不安がよぎったりしたら、使用をやめてすぐに皮膚科を受診しましょう。
「しばらく様子を見てから……」とほっておくと症状が悪化したり炎症範囲が広がったりしてしまうこともあります。
症状を最小限にとどめるためにも、早めに手を打つのが得策です。
皮膚科で検査をして、もし金属アレルギー反応が見つかったら病院で薬を処方してもらい、改善方法を教えてもらいましょう。
6-2.使えなくなった指輪は思い切ってリメイクしても素敵
せっかく選んだ大切な結婚指輪、お気に入りの結婚指輪がアレルギーのせいで使用できなくなるのはとても悲しいこと……でもガッカリしないでください。指にはめたり肌に着けたりすることはできなくても、リメイクして楽しむことは可能です。
肌に直接触れないタイプのブローチやバッグのチャームなどにリメイクすれば、結婚指輪がおしゃれアイテムとして生まれ変わり、使う機会もグンと増えます。
素材によっては難しい場合もありますが、お店に持ち込んでジュエリーリフォームの相談をしてみるのも一つの方法です。
「思い入れがあるから加工したくない!」という人は、リングピローに置いて素敵なインテリアアイテムとして飾るのも素敵です。
大切に取っておいて、将来自分の娘や息子へ譲り渡す……子供の幸せを願う両親の愛情が込められたプライスレスな贈り物。それも素敵ですね!
6-3.指輪はしばらくお休みする
アレルギー症状が出てしまったら、皮膚科の検査結果が出るまでは指輪をはじめ肌に直接触れるアクセサリー類はしばらくお休みしましょう。
皮膚炎であっても、その原因が本当に金属にあるかどうかはまた別の話です。検査の結果、金属アレルギー以外の理由による炎症と分かれば、症状が治まった後はこれまで通り指輪やアクセサリーを着けることができます。
また、金属アレルギーと診断された場合は、何の金属に反応しているのかを知ることで、その素材を避けてジュエリーを楽しむことができます。
いずれにしても、患部をしっかり治さなくては何も始まりません。きちんと回復するまで気長に待つことも大切です。
まとめ
結婚指輪を選ぶひとときは、幸せに満ちた人生で最も楽しい時間でもあります。
うれしさのあまり深く考えずに買ってしまい、後々金属アレルギーが出てしまい後悔することになってはもったいないことです。
「金属アレルギー」について正しく理解し、自分にふさわしい結婚指輪を見つけてずっとずっと大切に使ってください!