はじめに
結納は結婚の意思確認として行われる正式な儀式です。親世代にとって結納とは、結婚と同じくらい重要な位置にあったといってもいいでしょう。
しかし現代のカップルにとって、結納は“決まりごとが多くて堅苦しい行事”というイメージが先行し、「そもそも結納って必要なの?」と疑問に思う人も少なくありません。
今回は最近結納をしている人の割合や地域別の違い、そして結納をする・しないの決め方について詳しくご紹介します。
目次
1.結納を行う本当の意味
結納は互いの家同士が正式な婚姻関係を結ぶために行われる伝統的儀式であり、古墳時代から現在に至るまで脈々と受け継がれてきた、日本ならではのしきたりです。
もともと結納は、男性側の家族が女性側の家に結納品や結納金を贈り、結婚の支度を整えてもらうことが目的でした。
一番格式の高い正式結納では、仲人だけが両家を行ったり来たりして婚約の取り交わしを行います。しかしこの由緒正しい形の結納は、手間も時間もかかるため時代とともに敬遠されるようになりました。
代わりに、男性側が女性側の家を訪問したり、両家がホテルやレストラン、料亭に集まったりするスタイルの略式結納が主流となり、今や仲人も立てないケースがほとんどです。
ただし形式は変わっても、結納は「家と家を結ぶ儀式」であることに違いはなく、格式や伝統を重んじる家庭では今なお大切な行事として重視しています。
2.結納を実施したカップルは全国平均で14%
リクルート総研「ゼクシィ結婚トレンド調査2018」によると、結納を実施したカップルは全国平均で14%という結果が出ています。
具体的な内訳は以下の通りです。
- 結納と顔合わせ両方行った 10.5%
- 結納のみ行った 3.4%
- 顔合わせのみ行った 80.9%
- どちらも行わなかった 4.8%
- 無回答 0.4%
やはり最近では、結納をせずに結婚の話を進めるカップルが多数を占めています。
特に首都圏では、2012年に18%だった数字がたった6年後の2018年には12%まで下がりました。
そこには都市部では多様な考え方を持つ人が増えつつあること、また、核家族化が進み家と家のつながりに対する意識が薄れがちな環境であるという背景が見えてきます。
2-1.「地域別」結納の実施率
地域による結納実施率の違いはあるのでしょうか。
全国の実施状況をまとめた結果がこちらです。
北海道 4%
青森・秋田・岩手 25%
宮城・山形 21%
福島 24%
茨城・栃木・群馬 13%
首都圏 11%
新潟 9%
長野・山梨 19%
富山・石川・福井 20%
静岡 6%
東海 7%
関西 12%
岡山・広島・山口・鳥取・島根 19%
四国 19%
九州 29%
結納の実施率が1番高い地域はダントツで九州の29%、次に青森・秋田・岩手の25%、福島の24%と続きます。
反対に結納の実施率が1番低い地域は北海道の4%、次に静岡の6%、東海の7%となっています。
これらの数字から、地域によって結納に対する考え方は大きく異なることが分かりました。地域性や、礼節を重んじる家のしきたりが「結納をする・しない」に強く影響しているようです。
3.結局、結納って必要なの?
結納をする家は最近減ってきているものの、面倒だからという理由で安易に決めてしまうのは後悔のもとです。
結納は一生に一度の機会であり、結婚後にやり直そうとしたってできるものではありません。後になって「やっぱりやっておけばよかった……」と悔やんでも、仕切り直しはできません。簡単に結論を出さずにふたりでよく話し合い、納得した上で結婚準備を進めていきましょう。
次に、結納をするカップルとしないカップルそれぞれが何を基準に決断するのか、その決め手となるポイントを見ていきます。
3-1.結納をするカップルが重視するポイント
結納をするカップルは次のポイントを重視しています。
3-1-1.けじめがつく
それまで結婚に対して現実味がなかったカップルも、結納をすることで本格的に結婚へ向けて歩き出しているのだという実感が湧き、ピリッと身が引き締まります。
結納という伝統的儀式がそれまで恋人同士だったふたりのけじめとなり、「この先は二人三脚で人生を歩むのだ」と改めて覚悟を決める良い機会となります。
3-1-2.両家の絆が深まる
1つの格式高い儀式を共有することで、両家の距離は縮まり絆を深めることができます。
また、わが子の晴れ舞台を楽しみにしている親は多いものです。子育てからの思い出を懐かしく振り返りながら一人前になった姿を見届ける……親にとっては万感の思い迫る感動の瞬間でもあります。その点では、結納も親孝行の1つといって良いでしょう。
3-1-3.日本の伝統儀式を全うする満足感
国際化社会においてさまざまな異文化が飛び交う中、結納などの日本の伝統文化は世界からも注目された誇るべき財産です。(←※これもできれば参考URLがあるといいのですが)日本人にとっては古めかしい儀式も、グローバルな視点で見たらオリエンタルな魅力にあふれています。わが国ならではの貴重な伝統行事を全うすることができるのも日本人だからこそ。和文化を思い切り味わうことも人生の大きな財産となり、2人の心を豊かにしてくれます。
3-2.結納をしないカップルが重視するポイント
一方、結納をしないカップルは、次のような点を重視しています。
3-2-1.堅苦しい
結納は準備や進め方に一定の型があり、その通りに進行することが前提です。決まり事も多く慣れない振る舞いが続くため、形式的で堅苦しく感じてしまうカップルは、結納を選択肢から外すこととなります。
3-2-2.お金がかかる
結納には贈り物としてそろえなくてはならない結納金や結納品があります。結納金や婚約記念品(多くは婚約指輪や時計)以外のいわゆる結納品は儀式として使用する特別な品であり、日常生活に役立つものではありません。
結納品の値段はピンキリですが、それなりにお金がかかることも事実です。
また、結納は格式高い行事として正装かそれに準じた服装をそろえるために、振袖や留袖などの衣装代からヘアメイク、着付け等々、見えない出費もかさみます。
結婚式や新婚旅行、その先の新婚生活に備えて少しでも貯金に回したいと考える現実派のカップルが結納にお金をかける必要性を見いだせなくても無理はありません。
3-2-3.結納自体に意義を見出せない
ひと昔前は、結納は「“女性が男性の家に嫁ぐ”“娘を嫁にやる”ための儀式」でした。
その形式に違和感を持つ人は、やはり結納の必要性を感じないでしょう。
“女性は男性の家に入る”という考え方は今の時代にはそぐわず、結納自体に意義を見いだせないカップルには不向きといえます。
3-3.結納をする・しないはどうやって決める?
結納をする・しないに正解はありません。ただし、結婚する本人たちだけで決めてしまっては後でもめる可能性もあります。
「結納をしない」と本人たちも親たちもそろって考えているなら問題はありませんが、誰か1人でも「結納をした方が良い」と考えているなら、よく話し合うことです。
- なぜ結納をしたいのか、したくないのか
- 結納のメリット、デメリットは何か
- 費用面は問題ないか(誰がどれだけ負担するのか)
- 結納をしないなら結納金はどうするか
- 結納の代わりとなることをするのか、しないのか
このような点を両家で具体的に話し合って、それぞれが納得のいく結論を探っていきましょう。
4.今の主流は結納代わりの顔合わせ食事会
結納は堅苦しくて気乗りしないけど、両家の親睦を深めるために結婚前に交流する機会は欲しい……そう考えるカップルは多く、最近では結納代わりに顔合わせ食事会を行うケースが主流です。
同データから「結納は実施せず両家顔合わせのみ行った」と回答した人は全国平均で80.9%に上り、最近もっとも人気の高いスタイルといえるでしょう。
両家顔合わせに決まった形はなく、自分たちの考え方次第で自由にアレンジすることができるのも魅力の1つです。
結納をしないカップルはこの顔合わせ食事会で婚約指輪や時計などの婚約記念品を交換することが多く、肩の力を抜いたカジュアルな会であっても特別感のある思い出深い集まりに違いはありません。
顔合わせ食事会は、両親にとっても気軽に会話を楽しみながら相手方の家族とコミュ二ケーションが取れる大切な場です。
結婚前に両家の距離を縮めることもできるため、両親としても喜ばしいイベントであることは確かでしょう。
まとめ
結納が必要かどうかは一般的に語れるものではなく、地域性や家のしきたりによってその考え方は大きく異なります。
結納をする・しないは早急に結論を出さず、本人同士はもちろんのこと、それぞれの両親の気持ちも尊重して十分に話し合う姿勢が大切です。
ふたりが後悔したり両家でもめ事が起こったりしないよう、誰もが納得のいく着地点を見つけて、結婚へ向けて晴れやかな気持ちで突き進んでください。